亜空間

 飛ばされた。少なくともボクは亜空間にいた。知らぬ間に。この後握手ができるという興奮。かつて経験したことのない理由不明の緊張感。感極まって号泣する子。固まったまま、まじまじと自分の手を見つめる男。焦点が定まらず口を半開きでにやけるヲタ。最後の握手人になるため水面下で順番を譲り合い、牽制しあう男女。ステージに登ると同時に床に寝そべる失神したサラリーマン。ボクはただただ圧倒され、萎縮した。ボソッとささやかれた『私がここにいていいのかな?』という他メンヲタの声が全てを象徴している気がした。